借り物のディアゴスティーニ「シルヴィア」の解説で、マニュエル・ルグリを取り上げていました。
2ページの特集です。
文章中では日本との結びつきが深いことにも触れられ、「本国フランス以上に日本で人気が高いのもこうして繰り返し来日し、至極の舞台を惜しみなく見せてくれるからです」
それもそうですが、ルグリと言う人は日本人が共感するキャラクターであるように思います。
とにかく練習、練習、練習。
この文章でも触れられていますが、けがをしないのもけがを早く治すのも「練習」。
特別体格に恵まれているというわけでもないのに、傑出したダンサーになりえたのは、やはり努力の人だからと言われます。
エレガンスさえも努力で身につけたといわれるルグリ。「シルヴィア」のアミンタ役も秀逸でした。
「シルヴィア」を見ました。
ずいぶん以前に借りていたのですが、なかなか見ることができませんでした。
ノイマイヤー版。
ギリシア神話をモチーフにした作品です。
話がややこしいというイメージを持っていました。
主人公シルヴィアと彼女に恋い焦がれるアミンタ。
月の女神ディアナと永遠の眠りについているエンディミオン。
そしてキャラクター設定が今ひとつわかりにくい・・(と思うのですが)アムール=ティルシス=オリオン。
エンディミオンを通して描かれるディアナの孤独。シルヴィアーディアナの複雑な関係。そのあたりが、ややこしい物語と感じさせているのかもしれません。
第一幕、聖なる森でのニンフの郡舞は、女子高の体操部みたいなショートパンツ風の衣裳(すみません)がすごくダイナミック。でも第二幕のドレス姿のシルヴィアの方が安心して見ていられるような気分です。
オレリー・デュポンのシルヴィアは本当に華があって素敵です。年を重ねたという設定のラストシーン、旅行かばんを手にしたプロフィールがとても美しく感じられて大好きです。
シュペルリ版の「シンデレラ」で、フレデリックが訪ねたボリショイバレエ団のシーンを見るうちに、「ドンキホーテ」が見たくなりました。
ボリショイで「ドンキホーテ」を踊っているという設定になっていたからです。
ロシア国立チャイコフスキー記念ペルミ・バレエのドンキホーテ。
キトリはニーナ・アナニアシヴィリ。
数あるバレエ作品の中でも、主役の女性のキャラクターとして大好きなのがキトリです。太陽の申し子のように明るくて、気立てがいい。
アナニアシヴィリのキトリは赤い衣装がよく似合って、情熱的でスペインの陽気を感じさせます。ダイナミックなジャンプは胸がすくよう。
そういえばアナニアシヴィリはグルジア国立バレエの「白鳥の湖」で6月に来日予定で、「白鳥」全幕を踊るのはこれで最後と言います。
「ロミオとジュリエット」や「白鳥の湖」など演技で見せる演目も素晴らしいですが、やはりこの人のキトリが一番好き、とあらためて思いました。
はっきり言うと、あまり好みではないシュペルリ版の「シンデレラ」なのですが、第2幕は好きです。
フレデリックがシンデレラを探して、トゥシューズをチェックしているシーンが、ちょっとおかしい。うず高いトゥシューズの上に腰かけているフレデリックが印象的です。
その後、フレデリックはボリショイ、オペラ座、英国ロイヤルバレエ団と大カンパニーをめぐり、シンデレラを探す旅に出るわけですが、異国情緒豊かなダンスシーンが続き、私はここが一番楽しめます。シュペルリ版の一番の特徴といってもいいところです。
ボリショイでは「ドンキホーテ」などと実際に踊っている演目も設定されていて、とても楽しめます。
男性演じる義姉、義母の存在感が終始ありすぎる感がありますが、ラスト、仙女や妖精に祝福を受けながら踊るフレデリック&シンデレラはやはり素敵です。
なぜかペローの本家の童話が読みたくなってしまいます。
チューリッヒバレエ団のハインツ・シュペルリ版「シンデレラ」のDVDを見ています。
シンデレラはプリマバレリーナという設定。
やはりバレリーナだった母の死後、失意の中でコールドバレエの一員となっていますが、バレエ教師だけは彼女の味方となってくれます。
スターダンサーがパートナーを探すための舞踏会が開かれ、シンデレラと巡り合います。そして12時になって・・・。
というストーリー。
いじわるな義母と義姉も登場しますが、これが男性。
コミカルな役回りですが、ちょっと存在感がありすぎのような気も。
シンデレラのインパクトまで奪ってしまわないコミカルさって難しいのだろうな、と思いました。
舞踏会のシーンではガラスの靴に見立てたトゥシューズでのポアントが強調されていました。見どころなのはわかりますが、カメラワークのせいでちょっと強調されすぎのような気もするシーンでした。
また次回、続きの感想を。
トルストイのアンナ・カレーニナ、学生時代に読みました。
不倫に走り転落していくアンナと実直に生きるリョーヴィンの生き方が対照的で、若いころはリョーヴィンの生き方は眠い、と思ったものでした。
で、そのバレエ作品。
新国立劇場が、3月16日~20日まで公演していました。
取り紛れていて公演情報をチェックしていなかったのですが、HPの「3分でわかる」動画を見て、それだけで圧巻の溜息。
エイフマンって本当に奇才という言葉がぴったりです。
郡舞でこれだけ魅せるってすごいと思いました。
酔っ払いを表現するシーン、ラストで近づいてくる機関車を表現していると思われるシーンは、わずかな動画だけで緊張感が高まる演出でした。
もっと長い期間の公演だったらば、と思いました。
先日、日本のダンサーが日本ではなかなか食べていけず、海外に出るケースが多いことを書いていて、思い出したのがnoismのことです。
noismは日本初のレジデンシャルカンパニー。新潟市の市民芸術文化会館を拠点に活動しています。wikiで調べたら設立は2004年、カンパニーの諸経費や団員の給与は新潟市が拠出する財団法人の予算で賄われているということでした。
金森穣さん率いる団体で、以前は評判を聞いたときに、地方の文化的には厳しいと思える環境でどうなっていくのだろうと思っていました。
研修生カンパニーnoism2も設立され、ウェブサイトをチェックしたら最近では震災関連の特別公演も行っていました。
地元でユニークな企画をやっているようですし、3月末にはNHKのバレエの饗宴に出演するということで、独自の路線を切り開いているようです。東京発ではないゆえに、関係者の覚悟がユニークさを生んでいるかもしれないと思います。
菅井円加さんのローザンヌ優勝を契機に、バレエがメディアに登場する機会が一段と増えています。
NHKの朝のニュースでも、2日連続、関連の話題を取り上げていました。
昨日でしたか、NHKでは、ニュース番組の枠の中で、菅井さんをはじめとして日本人が今回大きく飛躍した背景について触れていました。
それによると、日本のバレエ人口は今約40万人だそうですね。
ビントレー監督までインタビューで登場していました。日本人はもともとバレエ向きであるということや、優秀な人材が多いということ、その反面海外流出が懸念されるーという内容だったと思います。
確かにバレリーナが食べていく、という報酬の意味においては、日本はなかなか難しいというところはあり、海外の劇場レジデンシャルカンパニーに所属するというのは既定値となっています。
昔と違って、日本でもバレエの観客が育ってきている今、職業バレリーナって本当に成り立たないのか・・などと考えつつ聞いたニュースでした。
ローザンヌ国際バレエコンクールで神奈川の高校生、菅井円加さんが優勝しました。
一昨日にネットニュースで第一報が流れ、興奮。
今朝は朝刊の社会面のトップで扱った一般紙もありました。
ネットで流れた帰国会見のニュースは、まぶしい笑顔が印象的でした。
複数の新聞が、APで配信された跳躍の写真を掲載していましたが、とてもダイナミックな印象。コンテンポラリーが得意、性格は負けず嫌い、高い身体能力、従来の日本人ダンサーのイメージを翻す、素晴らしい人が出てきたと思います。
ところで一次審査を通過した79人のうち、国籍別で日本人は最多の19人だったといいます。
産経新聞のネットニュースで、舞踏評論家の佐々木涼子・東京女子大教授は、「日本人のまじめな修練癖と、繊細な表現力が生かせる、実は日本人に合った芸術」と表現していました。
日本人ダンサーのさらなる躍進を予感させます。
深い雪に覆われているとーというわけではありませんが、なぜか「くるみ割り」を見たくなり、DVDをプレーヤーにセットしました。
脇役の中で、地味に好きなのが「ハレーキン」です。
クリスマスイブのパーティーのシーンで、ドロッセルマイヤーが取り出す箱から出てくる人形。ドロッセルマイヤーの魔術で人形が踊り出すシーンを見るのが好きです。
無機的な動きはいかにも人形なのですが、そこにはいのちがあるかのよう。ドロッセルマイヤーの魔術にかかって、いのちを与えられているかのような動きや独特のメーキングも楽しませてくれます。
箱にしまわれるときには、また生命感が失われていて、すごい表現力だなと思います。「コッペリア」もそうなのですが、バレエの舞台に出てくる人形の独特な存在感がとても楽しめます。