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バレエプログラムブログ

コッペリアの登場人物たち
明るくコミカルな味わいの「コッペリア」が大好きです。
主人公のスワニルダはもちろん、好青年といった風体のフランツ、人形師のコッペリウス、村の若者たちに至るまで、危なげない人ばかりの登場人物。
ストーリーのもととなっているホフマンの「砂男」は、人形を愛する男の狂気を描いていますが、こちらは安心して見ていられます。
何と言っても太陽のように全編を照らしているのは、スワニルダのキャラクター。ほかの女性が気になるフランツにやきもちを焼いたり、コッペリウスの家に こっそり忍び込んだり。明るく冒険が好きで、はつらつとしたスワニルダの人物像が、キャラクターダンスをはじめ、細部からも伝わってきます。
「演技」の面白さもこの作品の魅力です。動かぬ視線や機械的な関節の動きで表現される「人形の表情」に、思わず感嘆します。
ところで、以前新国立でも上演されたローランプティ版は、スワニルダにひそかに恋焦がれるコッペリウスが彼女に似た人形をつくるーという筋立て。天才プティの画期的な演出ですが、コッペリウスの哀愁がちょっと切なく映ります。
2011年5月27日
ロメオとジュリエット、バレエでの表現

シェイクスピアの原作を初めて読んだとき、子供心になんともやりきれない思いがしました。
永遠のラブストーリー、ロメオとジュリエット。
貫いた愛の先に死があった。これも運命であり、人間の面白さだと思えるにはずいぶん時間がかかったように思います。
バレエのロメオとジュリエットは、プロコフィエフが作曲した当初、死を踊りでは表現できないとの考えから、ハッピーエンドを想定していたと言われます。それを可能にしたのがマクミラン。恋心を確かめる第一幕と対象的に、第三幕では不吉な死の予兆がパドドゥで表現されます。
演劇的、という表現が適切かどうかわかりませんが、バレエのもつ可能性を見せつけるようなマクミラン版です。
さて、そのマクミラン版は、新国立劇場で6月末から7月にかけて見ることができます。
ジュリエット役は、10年前の新国立にも出演した酒井はな、本島美和ら4人。
芯の強い深層の令嬢のイメージのある小野絢子、華やかで「うまい」印象のあるリアン・ベンジャミンも楽しみです。
名作はあらゆる芸術的表現が試みられ、さまざまに解釈されて、さらに偉大な作品となる。
そう感じさせるロメオとジュリエットです。

2011年5月23日
大自然が舞台のバレエ

フィールドバレエのことを知るまでは、バレエとは都市の産物であり、大がかりな舞台装置を備えた都会のホールでしかありえないと思い込んでいました。
毎年夏に東京のバレエ団、シャンブルウエストが八ヶ岳山麓で行っている清里フィールドバレエ。大自然の中の特設会場で行われるロングラン公演は、日本で類をみず、清里高原の風物詩となっています。
森の木立を背景に、幕が開くのは夜8時。
今年も「コッペリア」など3プログラムが予定されています。
このステージで見るならとりわけ「ジゼル」という声も多いようです。
幸福な結婚を前に不幸にして亡くなる体の弱いジゼル。
彼女は妖精となって墓を抜け出して姿を現し、夜の森の中で踊ります。
自然の中での公演なので、天候で中止になることもあれば、雨のあとの星空が顔を出すことも。そんな、大自然が舞台装置となる公演です。
そのシャンブルウエストは、13日から東北地方の被災地を回り、出張公演を始めました。
巨大自動音声オルガンを積み、各地でミニ公演を繰り広げるとのこと。
美と芸術が、被災地の方々の心を束の間、癒すことを願ってやみません。

2011年5月14日
コメディバレエ団

思い切り笑いたいときは、これです。
トロカデロ・ザ・モンテカルロバレエ団。
新宿公演は設備の関係で中止となったようですが、今年も6、7月に関西や大宮などで日本ツアーが予定されています。
男性だけで構成される元祖コメディバレエ団。
何度も生き返る「瀕死の白鳥」や長身のバレリーナを必死で支える小柄なパートナーなど、配役やストーリーに笑いのエッセンスがふんだんにちりばめられています。
その寛容性、柔軟性は、やはり米国発と思わせられます。
もっとも、世界各地で高い評価を得ているのは、単なる女装にとどまらず、高い芸術性に裏付けられているから。
以前、初めて見た友人が、トロカデロの公演をきっかけにクラシックバレエに傾倒していったことがありました。
典型的なクラシックバレエの間口を広げているのは、何と言っても美しいからです。
「芸術か!冗談か!」というコピーも有名ですが、最高の芸術であり、コメディーです。

2011年5月6日
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