マクミランの「三人姉妹」を見ています。
英国ロイヤルバレエ団。
これはチェーホフの戯曲を元にしたロシアの三人姉妹の物語。
シェイクスピア素材のバレエ作品でも同じことを思うのですが、原作が翻訳されていても美しい台詞の数々である場合、文学として非常に魅力があるがゆえに、バレエ作品としてはどうなるのだろう、と思います。
この「三人姉妹」も原作の名台詞とも言うべき言葉を思い浮かべながら舞踊を追っていると、ちょっと物足りなく感じてしまうのが正直なところです。
また冒頭~前半の、込み入った関係が表現されていくくだりは、少し展開が早すぎるような感があり、もう少し叙情に浸りながら物語を味わいたいという気がしてしまいます。
もっともマクミランは、原作を再現するのではなく、イメージを表現しようとしたと言われていますから、台詞を思い浮かべながら、あるいは原作のテンポを思いながら見るという見方そのものが誤りかもしれません。
原作からさまざまなバリエーションが生まれている他の作品と同じように、全く別のものとして見るのが適当なのだとは思いつつも、染み付いた原作からなかなか離れられずにいます。
先日、新国立劇場の情報センターから「日本のバレエ~三人のパヴロワ」という本が出版されました。
資料集ということになっているし、今のところアマゾンでも見当たらないので、薄いガイド的なものかと思いきや、紹介ページによると112ページ。
アンナ・パヴロワ、エリアナ・パヴロワ、オリガ・サファイアについて書かれているもようです。
いわゆる、日本のバレエ界三人の恩人です。
アンナ・パヴロワは大正時代に全国各地で公演を行っています。エリアナ~は鎌倉にゆかりがあり、戦時中に日本軍の慰問に訪れた南京で亡くなったということ。ネット上で靖国に御霊がまつられているという記述も見つけて驚きました。
オリガ・サファイアも含めて、実に日本のバレエというのはロシアに負うところが大きいとあらためて思います。
気になる本なのですが、資料集という扱い・・・。買おうかどうしようか、少々悩んでいます。