シェイクスピアの原作を初めて読んだとき、子供心になんともやりきれない思いがしました。
永遠のラブストーリー、ロメオとジュリエット。
貫いた愛の先に死があった。これも運命であり、人間の面白さだと思えるにはずいぶん時間がかかったように思います。
バレエのロメオとジュリエットは、プロコフィエフが作曲した当初、死を踊りでは表現できないとの考えから、ハッピーエンドを想定していたと言われます。それを可能にしたのがマクミラン。恋心を確かめる第一幕と対象的に、第三幕では不吉な死の予兆がパドドゥで表現されます。
演劇的、という表現が適切かどうかわかりませんが、バレエのもつ可能性を見せつけるようなマクミラン版です。
さて、そのマクミラン版は、新国立劇場で6月末から7月にかけて見ることができます。
ジュリエット役は、10年前の新国立にも出演した酒井はな、本島美和ら4人。
芯の強い深層の令嬢のイメージのある小野絢子、華やかで「うまい」印象のあるリアン・ベンジャミンも楽しみです。
名作はあらゆる芸術的表現が試みられ、さまざまに解釈されて、さらに偉大な作品となる。
そう感じさせるロメオとジュリエットです。