今年東京バレエ団が50周年を迎えるにあたり、いろいろな話題がありますが、注目はウラジーミル・マラーホフのアーティスティックアドバイザー就任でしょうか。
ベルリン国立バレエ団の退団のニュースのあと、去就が取りざたされていました。
6月にベルリンバレエ団を去り、8月の50周年祝祭ガラに出演した後、秋から翌春まで日本に滞在するとのこと。
祝祭ガラでは「ペトルーシュカ」、眠れる森の美女ではカラボスを踊ります。
いずれも個性的なキャラ!
心は今もダンスールノーブルだけれども、美しい王子としての記憶を聴衆にとどめておきたい、と、多彩なキャラクターに挑戦していく向きの発言が、インタビューの中でありました。
今でも十分王子だと思いますが・・・年齢を重ねて、さらにプラチナの輝きをまとっていくだろうこれからが、楽しみです。
東京ガスがWEB限定で公開している「ガスの仮面」が面白いです。
浴室暖房機などのキャンペーンだそうで。
秋ごろから話題になっていたCMと連動。
CMは、門脇麦演じるバレリーナの舞が、「仮面の男」(竹野内豊)のレッスンを受けながら、主役の座を目指すというストーリー。5本のCMにはそれぞれWEB限定のアフターストーリーがあり、真剣なようで、主役の座をなぜか料理で争うなどコミカルな展開。真剣に、笑えるものを作る気持ちよさを感じる作品でした。
で、主役の座を得た舞のバレエの本公演、という設定の映像作品が先ごろUPされました。
http://cp.tokyo-gas.co.jp/swanlake/
東京ガスのプレスリリースによると、「モーションキャプチャー撮影」というそうですが、人物の動きをデジタルデータの軌跡で追い、舞の動きが霧のようなデジタルな存在になったり、霧に映像が投影されたり。
ガス会社さんのものですから、熱、炎、霧と3つのテーマで表現されています。
バレエをこんなに映像で面白くできるんだ、というのが新鮮でした。何も知らずに映像作品として見ていれば、例えば「熱」は特に、暖色系が悪目立ち過ぎるのではないかと思うかもしれませんが、ガス会社によるもの、という前提で見ているので、「うまいな」という感想を持ちます。
CMからの続きで見ているので、「仮面の男」のような視線で主役の舞を見てしまう、というところもありました。
また面白いことをやってほしいものです。
ダンスマガジン2月号の表紙は、とにかく目を引きました。
シルヴィ・ギエムの「カルメン」。
シルヴィ・ギエムオンステージ2013より、です。
進藤弘子が冒頭の評の中で「強力な磁場」という言葉を使っていて、得たり、と思いました。
すでに写真からもそれが伝わってきます。
マッツ・エックといえば古典の新解釈で何かと話題を呼ぶ人ですが、荒唐無稽なのではなく、原作に根拠を求めて演出につなげているような印象を持っています。だからこそ、彼の作品には射貫かれるようなキレがあるのだと。
今回は魔性の女というだけでなく、鋼のような強さを持った女性としてカルメンが描かれています。
これがまたギエムの風格から醸し出されるイメージと一致していたように思います。
9月に富山県高岡市福岡町で「アーティスティック・ムーブメント・イン・トヤマ2013」が開かれました。
…というストレートニュースを見て。
コンテンポラリーダンス×富山って、よく見かける気がしまして。
何か土壌があるのか、と調べてみました。
はっきりは分からなかったのですが、富山大学芸術文化学部、高岡市などのネット上の情報をつなぎ合わせると、越中高岡の伝統芸能である雅楽とコンテンポラリーダンスのコラボを通じて、新しい文化の創造を期待する…みたいな流れのもよう。どちらにせよ、地方発のこうした取り組みはぜひぜひ応援したいものです。
で、その「アーティスティック…」の初日に行われた少人数による創作ダンスコンクールは、全国の大学の舞踊科やクラブによる作品の競演でした。
大学が文化の発祥の源であった時代というのは、ほかの芸術においてももう過去の遺物のようにも思えますが、こうしたところへは、ぜひ光を当てて貰いたいものだ、と思います。
ダンスマガジン12月号「美の秘密」は、Kバレエカンパニーの佐々部佳代。
お気に入りのアイテムとして、チークや自家製のジュースを紹介しています。
ページに載っている「ジゼル」のカットが実に美しかった-。
日本人好みの美しさかとは思いますが。
ゆるく読めるページとして、この「美の秘密」という連載は好きなのですが、やはり、バレリーナのイメージがありましょうから、あまり突飛なことは書かれていないな、というのも正直なところ。
意外な話題が出てくると面白いのに、と勝手な感想を抱きつつ、読んでいます。
東京バレエ団は12月14、15日、「ザ・カブキ」を上演します。
今回は、柄本弾とともに、森川茉央が主演。HP上(7月現在となっている)では、15日の主演の予定です。
森川茉央といえば、2010年「オネーギン」でグレーミン公爵役でした。
いろんなメディアで、初めて見たベジャール作品が「ザ・カブキ」と語っています。
今風の顔立ちの森川ですが、最近は由良之助の雰囲気が出てきたように思える…のは思い込みでしょうか。
新しい由良之助が見られるのが楽しみであります。
アリーナ・コジョカルの続き。ダンスマガジン12月号、冒頭の特集はミラノ・スカラ座バレエ「ロミオとジュリエット」。
コジョカルとオシポワのジュリエット競演の話題でした。
このインタビュー記事の中で、コジョカルの役との向き合い方がとても印象的でした。
記事よると、コジョカルはシェイクスピアを何度も読み返し、「ずっとこの場面のことを考えて」きている。
第三幕の寝室のパドドゥについて、「私はずっとこのパ・ド・ドゥが何かを要求していると感じて」きた。
翻訳文章のせいか、届いてほしいところに届かないもどかしさを残す一言なのですが、コジョカルの演技に向かう心を感じさせるようで、とても印象的でした。
元同僚のタマラ・ロホが芸術監督を務めるENBに入ったわけですが。
ENBは実力派のバレエ団であるので「新興」という言葉はふさわしくないのでしょうが…「これから」の勢いを感じさせるところもあり。
面白いことになってくるのではないかと思っています。
その一生に何ともドラマティックなものを感じ、生き様を今もこれからも注目しているバレリーナがアリーナ・コジョカルです。
今夏、ロイヤル・バレエを退団し、その後、イングリッシュ・ナショナル・バレエへ移籍しました。
生まれはルーマニア。9歳で故国を離れてキエフのバレエ学校へ。
その後、キエフバレエ団を経て、ロイヤル・バレエ団へ。
ロイヤルでは、最下級からスタートして、一年半でプリンシパルへ昇格。
メディア等で知る範囲のみではありますが、ハングリーというほど、あからさまではないものの、秘められたエネルギーが、その発言から感じられ、とても魅力に感じます。
このドキュメンタリーのことを、このブログに書いたかもはやあやふやですが…多分書いていないと思って書きます。
ミコ・フォーガティも撮影に参加していた「ファーストポジション 夢に向かって踊れ」。
これ、最初にあらすじを聞いたときは、実はそんなに魅力的とも思えなかったのです。バレエの世界の頂点を目指すジュニアバレリーナとその家族の物語。
予告編の昂ぶるような音楽も、バレリーナの人選も、ちょっと狙いすぎではないかな、などと。
でもやっぱり素晴らしい作品でした。
バレエってやっぱり大変な世界、と思う反面、登場するバレリーナたちの真摯な生き様に呼び覚まされるものがあります。
ドキュメンタリーだからということはありますが、撮り方とかそういう映画としての質よりも(それが低いと言っているわけではなく、有無の話です)、ひとえに内容に対する評価の声を聞く作品でもある気がします。
16歳のジュニアバレリーナ、ミコ・フォーガティをいろいろな媒体で見かけます。注目を集めるようになったのは、一昨年に映画「ファーストポジション」の撮影に参加してからでしょうか。今年は6月のモスクワ国際バレエコンクールのジュニア部門で優勝。母親は元ピアニスト。父はハーフ、母は日本人という背景など、何かと話題を集める材料を持っている人です。
私は以前新聞で見かけて、初めて名前を知ったのですが、当然モノクロ。その後カラー媒体で見かけて、新聞の写真よりも(失礼)ずっときれいな人なのに驚きました。
良い意味でバレリーナにしてはダイナミックなイメージもあるミコ。今後も注目したいと思っています。