雑誌で素顔の写真を見たとき、最初に、バレリーナっぽくない、という印象を持ちました。
パリ・オペラ座で昨年エトワールになったアリス・ルナヴァン。
バレリーナには服装もメイクも含めて、古典的な美しさの人が多いように思うのですが(偏見かもしれません)、現代的な印象です。元々、コンテンポラリー作品で高い評価を得ていたという来歴も然り。
今年3月の来日公演「ドンキホーテ」のキトリは爽快なほどパワフルでダイナミックという評。
ダンスマガジン6月号の「美の秘密」にも登場していました。
それによれば、やはり、ロックテイストが入ったヴィンテージものを好んだり、メンズを取り入れたり、ということ。
こだわりなくさまざまなジャンルを取り入れるボーダレスな姿勢が、創り出す芸術ってあると思います。
そんなわけで好きなバレリーナの一人なのです。
日本人として初めて、木田真理子さんがバレエ界で権威のある賞のひとつであるブノワ舞踊賞を受賞。
昨日のニュースです。
1年間にもっとも優れた活躍をしたダンサー・振付家を顕彰するもので、ベジャールやシルヴィ・ギエムさんも受賞されたという。
東京新聞によると、スウェーデン王立バレエ団の第一ソリストなのですね。
調べたら2000年のローザンヌ入賞は加治屋百合子さんと一緒でした。
今回はノミネートされ、ジュリエットを演じたということ。
ここのところ、日本人ダンサーが世界で活躍するニュースが珍しくなくなりました。
日本人初、の冠がどんどん取れていく時代かもしれません。
今月のダンスマガジンの巻頭は、オーレリ・デュポン「椿姫」の日本公演。
美しいです。
もともと「椿姫」は大好きなのですが、はまり役です。
2幕の白いドレスのオーレリの写真、特に匂い立つようでした。
特集の最終ページの素顔(に近い、というべきか)の写真がまた印象的です。
大抵のバレリーナさん、私の目から見ると、衣装を身につけないカットのときも、そんなに舞台の上と変わらない雰囲気に映るのですが、これはがらりと違って、カジュアルな中に美しさと強さを感じました。
オーレリの来年の退団を控え、話題も十分でした。
来月6月の半ばから9月まで、新国立新美術館で、「魅惑のコスチューム バレエ・リュス展」が開かれます。
オーストラリア国立美術館蔵のコスチュームコレクションとデザイン画などが展示されます。
国立新美術館のホームページの告知を見ましたが、本当にそこに載っている何枚かの写真だけでも本当に素敵です。
バレエ・リュスに音楽や舞台装置にさまざまな芸術家が関わったことは自明ですが、恥ずかしながら衣装デザインにも著名なデザイナーが関わっていると知りませんでした。
HPに載っている写真は1900年代初頭のものが多いのですが、何ともきらびやかで美しい。
今から本当に楽しみな企画展です。
ネット検索をしているとき、たまたま、ローザンヌ国際バレエコンクールの優勝者である菅井円加さんの記事を見かけました。
記事は、菅井さんが通っている学校のHPのよう。校長先生の特別授業という形でのインタビューで、新聞やバレエ雑誌と違った面白さがありました。
ローザンヌのシステムなど基本的なことから、スポーツに取り組む姿勢などー。校長先生の問いかけや説明(「授業」ですから)は教育者らしいのですが、バレエ関係者が話題にしないような視点もあるように思いました。
ローザンヌは、NHKが毎年放映していることもあり、日本ではよく知られています。単なる技術的なコンクールというだけでなく、レッスンが行われ、振付け家やダンサーと対話する時間が設けられているのも特徴といえるのでしょう。
優劣をつけるだけでなく、一緒にバレエ人として成長していこうという雰囲気。
バレエに限らず、人材育成を考える上で、ヒントになるコンクールだと思っています。
コンクールなどで活躍する人が増え、バレエ男子の認知が広がりつつあります。
去年創刊の季刊誌「ダンシン」(新書館」も、バレエ男子を念頭に置いた雑誌。
連載マンガ「バレエヒーロー・ファンタジー・ダンの冒険」(安立たかふみさん作)は、スティーヴン・マクレイの監修と話題も十分です。
バレエを武器に悪と戦う、と聞いて最初はイメージがしづらいように思ったのですが、挿絵は少年マンガ的な感じでした。
一昔前までは、男子でバレエというと、極めてレアな感じでしたが、男性バレリーナの世界での活躍もあり、今では全く珍しくなくなりました。
時代の中性化と同じ文脈で語っていいのかちょっと迷うところですが、美しい男性バレリーナの活躍は、シンプルに見たい、と思い、世界を目指す男子を応援したいと思っています。
バレエを習っているお嬢さんのいる知人が、せっせと娘さんの頭でシニヨンを練習しています。
バレリーナといえば髪型はシニヨン。あれも演出の一つなのですよね。
自分自身が子どものころ、友人のバレエ発表会を見に行くと、あのきれいにまとまった頭にも感動して、本職のヘアメイクのような人にやってもらうのかと、漠然と子ども心に思っていたのですが、大抵お母さんがされているのですね。
知人いわく、ヘアウオーターやジェルなどを駆使してポニーテールにまとめ、シニヨンネットをかけUピンなどを駆使して仕上げる、と。どの種類のゴムだと滑りにくい、はずれにくい、だの力説していました。
私はUピンすら全然使いこなせないので、そんな話を聞くだけで感動してしまいます。
そんなにジェルの類いを使っていて髪の毛は傷まないのか、というと、やはり終わったあとのシャンプーはかなり念入りだそう。
シニヨンは、頭や髪の毛が邪魔にならずず、体の細くてきれいなラインから続く一筆書きのように感じられて素敵です。知人の苦労話を聞くと、なおさらそんなことを思いました。
4月号のダンスマガジンの表紙は東京バレエ団「ロミオとジュリエット」。
2月上旬、東京文化会館です。
この記事、というか、写真だけでもノイマイヤー版の魅力がよく伝わります。
マクミラン版の方が印象が強かったんですが、こちらの方がいいような気がとてもしてくる!
沖香菜子のとても少女らしく無垢なジュリエットの表情がとても可愛らしく、「ザ・カブキ」の由良之助の印象が強かった柄本弾は、雰囲気ががらりと変わっていました。
前にも少し書いたのですが、マクミラン版は(あれはあれでもちろんよいのですが)ついディティールでシェイクスピアの原作との乖離が気になってしまうのですが、これはそうではないように思いました。
1月末に河谷まりあの骨折により、代役となった岸本夏未はこれが初主演。
相手役の後藤晴雄はこの公演を最後に退団することを発表し、話題の多い公演でした。
今月は、スターダンサーズ・バレエ団の「ドラゴン・クエスト」の公演があります。
15,16日、五反田ゆうぽうとホール。
あのゲームのドラゴンクエストが原作、同じようにすぎやまこういちさんの曲を用いています。
ポスターのきれいなお姉さんに囲まれた男は武器商人でしょうね。
今回、調べてみたら、初演は1995年なのですね。ゲームのドラクエ自体は1980年代の半ばの発売だったと思いますから、95年にバレエというのは、早い時期だったんだな、という印象を私は持ちました。
ネットでレビューをささっと見ましたが、こういう企画は、普段バレエを見ない人も呼び込めるようで、ファン層の広がりが期待できるのかもしれません。
ドラクエといえば、ゲームに出てくるメッセージが、訥々としているのに面白かった記憶があり、言葉なしで完結してしまったと思うと、やはりバレエってすごいな、というシンプルな感想が湧き上がってきます。
現地時間の1日、スイスで行われたローザンヌ国際バレエコンクール。
日本人の活躍を伝えるニュースが飛び込んできました。
優勝は松本市の二山治雄さん。
二位は横浜市の前田紗江さん。
6位までを日本人が3人占めるという快挙でした。
私が子供のころ、男性でバレエを習っている人はとても稀少でしたが、著名な男性バレリーナの活躍もあり、最近ではそこまで珍しくもなくなったように思います。
今回、特筆すべきと私が思うのは、地方在住者の入賞です。
もちろん地方の名門バレエスクールではありますが、何となく大都市でないと習いにくいイメージのあったバレエの層が確実に広がっていることの証のように映りました。
こうしたこともきっかけに、日本でのバレリーナを取り巻く環境が、さらに向上していくことを願っています。