話題としては古いのでしょうが、調べ物をしていて、昭和音大バレエ研究所の研究内容を見る少し見る機会がありました。
日本のバレエ人口は多いのか少ないのか。。その議論にはっきりとした答えは多分なかったと思うのですが、同研究所では、郵送調査等によりバレエ教室のデータベースを構築し、地域別のスクールの数も出しています。
約4600の全国のスクールのうち、半数近くが関東にあるというのはやはりというべきでしょうか。最近はどんな地方でもバレエスクールの看板を見かけますが、数字を見ると、都市への集中ぶりをあらためて感じます。
ところで、この調査は全国の、送付可能なスクール約4600に調査票を送付し、有効回答が約1400と言います。
スクールの中には閉鎖されたりなんだりという事情があるところもあったかもしれませんが、この有効回答数って統計の類いとしては標準なのでしょうか。どうせならもっと回答を寄せていただいて、正確なところが知りたかった、というのが第一の感想です。
新国立の予告といえば、来年4月の「ファスター」日本初演の情報もUPされていました。
「ファスター」は、ロンドン五輪に着想した作品。タイトルも、ロンドン五輪のモットーにちなんでいて、ダンサーがアスリートを演じるという設定です。
併せて上演される「カルミナ・ブラーナ」とも、ビントレーの作品。
「カルミナ・ブラーナ」は、もとはドイツの修道院で発見された詩歌集で、同盟のカール・オルフのカンタータがよく知られています。
ビントレーのバレエ作品では、修道士と欲望をテーマとしていて、過去に二度新国立で上演されています。どちらかというと、カルミナ~のような作品が私は好きなのですが。。こちらは来年春の楽しみです。
7月の終わりに、新国立のHPに、くるみ割り人形の特設サイトがオープンしていました。
公演は12月。クリスマス前週に6日間7公演です。
全国的に猛暑の今年。クリスマス、という響きにため息をつきそうになってしまいましたが、HPの動画は、明るい気分を連れてきてくれます。
演出はもちろんですが、キャストに日本人が多いせいなのでしょうか。動画の限り、ではあるのですが、海外のバレエ団のくるみ割りよりも、よい意味でずっと淡泊な雰囲気でした。見慣れたくるみ割りは、ファンタジックななかに「ありえなさ」みたいなものを感じるのです。それよりもずっと繊細な雰囲気が漂っているような。。。またクリスマスらしい、ウィットの効いた結末でもあるようです。
少し前のダンスマガジン「美しい男たち」の一人に、ツァオ・チーが取り上げられていました。
自身の来歴と重なるような「小さな村の小さなダンサー」の人、という印象が強かったのですが、インタビューの中で、ダンサーとしてのあり方をクイーンのライヴを例に語っているところが、とてもよかった。
「フレディはすぐ楽譜から外れるし、歌詞が合ってないときも多い。だけど彼のエネルギーによって、鳥肌が立つような気持ちに襲われる」(ダンスマガジン201304月号)
クイーンのライヴを機に、パフォーマンスは、技術的な完成度ではなく、エネルギーを届けるものと思ったと言います。
甘いマスクの中に、一本通った芯を感じた記事でした。
舞台人の観客に向けたエネルギーを、感じ取りたいと思います。
先に書いたバレエ・リュスの中の一本、「火の鳥」は、ロシアの民話に基づいていると言われます。
舞台でずっと飛び続けているような火の鳥。ダイナミックとかパワフルとか言うのとも違って、とにかく「鳥っぽい」。本当に大きな鳥が羽ばたいているように見えます。
特に手の動きがそう見せるのでしょうか。
民話の世界のファンタジーな生き物であると感じさせるような独特の存在感があります。
この絶え間ない動き。。凄いです。
火の鳥役は前回に続き小野絢子と、そして米沢唯。
少しタイプの違った火の鳥が楽しめそうです。
今シーズンの新国立劇場は、バレエ・リュス作品の三本立て。
「火の鳥」「アポロ」「結婚」です。
ロシア人プロデューサー、ディアギレフが主宰するバレエ・リュスには、ストラヴィンスキー、ルオー、コクトー…。実にさまざまな芸術家が携わったとして知られます。バレエの芸術としての地位を高めた存在。。と言っていいのでしょうか。
中でもストラヴィンスキーは、ディアギレフに作曲依頼を受けた「火の鳥」が出世作になりました。
ヴェネツィアの墓地のあるサンミケーレ島に、ディアギレフもストラヴィンスキーも、ともに眠っています。ディアギレフの墓には、トゥシューズが供えられていると、以前読んだことがあります。
ロシア・マリインスキーバレエ団に初めて日本人の入団が決まったとニュースで知りました。
東京出身の石井久美子さん。入団はどうやら4月に決まっていたようですね。
読売新聞の記事によると、身長は169センチ。習い始めは小学校2年生ということでした。
マリインスキーが外国人に積極的に門戸を開いたのは、最近になってからと言われます。
四半世紀を超えるマリインスキーの歴史に、さらなる輝きが刻まれることとうれしく聞いたニュースでした。
今年も7月末から、清里フィールドバレエ「ジゼル」の公演が始まりました。
夏の八ヶ岳恒例の野外バレエです。
八ヶ岳周辺のホテルでは、宿泊、送迎、チケット、ディナーなどのついたプランも出ているようで、もはや地域一体となったイベントに定着しているのだろうと思います。
野外公演というのは、バレエに限らず人間が頼りなく見えがちで、本当の存在感がなければできないことという感じがします。またどこでもできるわけではなく、雨が比較的少なく、爽やかな気候の場所、時期だからこそなのでしょう。
毎年、この公演の知らせを聞くと、夏の到来を感じます。
モーリスベジャールバレエ団の日本公演の際、Bプロでは「ライト」の復活公演が行われました。
ベジャールとの哲学的とも言える世界観が表れている作品、と言えばいいでしょうか。
ジョルジュドンと森下洋子が振付けしたものが、芸術監督であり、ベジャール世界の後継者と言われるジル・ロマンの手によって復活しました。
サンフランシスコとヴェネツィア、中世と70年代を描いています。
あらすじを追うというよりは、抽象画のようなイメージの作品。
次はいつ見られるでしょうか。
彼女は子どものころからバレエを習っていて、例えばモーリス=ベジャールとかジョルジュ・ドンという名も、私は彼女から知らされました。よくベジャールの載っている本を持ってきては、うっとりとその素晴らしさを語っていた記憶があります。
そんな話を持ち出すと、3月のモーリスベジャールバレエ団の日本公演の話題になりました。
ジュリアン・ファヴローが、モーリスベジャールバレエ団に入団したのはあれからずっと後。「新しい」ボレロってどうなんだろう。友人という「軸」があるせいで、余計にベジャールバレエ団の時の流れを克明に感じます。今度会ったときにはそんな話もしてみたいと思っています。