「イワン雷帝」「スパルタクス」など、演劇性が高い作品も好きです。
グリゴローヴィチの功績は、演劇性の高い作品であっても、マイムに頼ることなくダンスで構成していくことだったと言われます。
その流れの中で、男性ダンサーの力強さや男性特有のテクニックなどが駆使されるようになりました。
代表作の一つの「愛の伝説」は、共産主義者のナームズ・ヒクメットの戯曲に題材を取ったもの。
女王と妹、宮廷画家の三角関係ーというと軽いですが、そのような関係の中で、自己犠牲や献身をテーマとした作品です。
女王は重病の妹の病気を治すために美貌を差し出し、煩悶しながらも最後には妹と宮廷画家の仲を認める。
しかし宮廷画家が選んだのはー。
もどかしいようで、その正しさに、自分の奥底では共感できるように思います。この作品もやはり、演劇性の高さが素晴らしいです。