マリウス・プティパの話題はいくらでも続けられますが、私の中では自分が一番好きな「ドン・キホーテ」を。
プティパが若いころ、スペインを旅し、スペイン舞踊に感激したところに創作の源がある、と言われています。
「ドンキホーテ」は老騎士の物語ですが、小説の中の「カマーチョの結婚」に出てくる若い庶民の二人を主人公にしたところに、この作品の勝因はあったのかもしれません。
モスクワでの初演は、民主的なお土地柄に、普通の若者たちを描いたことがマッチして歓迎されたとのこと。
ペテルブルクでは、夢のシーンを入れ、結婚式も貴族の館で行われるなど、観客の好みを考慮したとされています。
プティパの後、弟子のゴルスキーによる改訂を機会に、群舞にも一人一人に自然な演技が求められるようになりました。
やはりこれは庶民の魅力にあふれた作品なんだ、と思います。