「椿姫」の中で印象的だった主役以外の人が主となるシーンをいくつか。
一つはアルマンの父デュヴァル氏が、マルグリットに息子と別れてくれるよう頼みに来るシーン。
引き気味のデュヴァル氏の動きが、マルグリットへの距離感を感じさせます。
別れを了承したマルグリットを一瞬だけ抱きしめてついと離れる場面でも、デュヴァル氏はきっと良心的な人物なのだろうと想像させます。
娘にするような口づけを、とデュヴァル氏に頼むマルグリットは、ちょっとセンチメンタル過ぎるとも思えますが
レディにするように手の甲に優しく口づけて去るデュヴァル氏の紳士ぶりが印象的でした。
もう一つはオリンピア。したたかさが随所に見られるオリンピアは、第三幕で再会するマルグリットとアルマンに割って入り、アルマンの腕に手をかけて踊ります。
挑発するようなオリンピアの笑みと動きが、いっそうマルグリットの悲壮感を引き立たせるように思いました。