バレエは右脳でみるからいい、と友人が言いました。
逆にいうと、左脳的に単純にストーリーを説明してもなかなか魅力が伝わらない場合もあります。その典型がこの「ドンキホーテ」ではないでしょうか。
老郷士が本を読んでいるうちに現実と妄想の区別がつかなくなって旅に出て・・とあらすじを説明してもなかなか理解を得られませんが、ひとめこの舞台を見れば軽やかな爽快感が味わえます。
バレエ作品では原作と違い、メーンは駆け落ちする若い二人に置かれているということもありますが、お供のサンチョのコミカルさといい、随所に登場するスペイン舞踊といい、「陽性」がこの作品の特徴です。
キトリのバリエーションには、優雅、洗練といったもの以外に、ダイナミックな、それでいて女性らしさを失わない強さを感じます。
作品の根底に流れている明るい強さは、キトリのキャラクターとも重なり、見る人を引き付けているように感じます。