初演された年をきっちり覚えているのは、たぶんこの作品だけです。
ラシルフィード。
1832年3月12日。
マリータリオーニはロマンティックチュチュをまとい、つま先立ちで幻想的な世界を表現しました。多くの人がバレエと言って思い浮かべるイメージの始まりは、ここにあったと言われます。
初演の日と同じように記憶に刻まれているのが、新国立劇場で何年か前に上演されたときのコピーです。「あなたの彼が時々いなくなるのは、森に誘われているかもしれません」
少し違っているかもしれませんが、作品のストーリーも雰囲気もこめられたコピーでした。
結婚式のその日に落ち着かないジェームズ。彼に恋した妖精のシルフィードがジェームズの周りを跳ねまわって魅了しているからです。やがて花嫁を置いて森に行ってしまったジェームズは・・・。
悲劇的な結末は、ちょっと救いのなさを感じさせますが、魅惑的で美しいラシルフィード。今年は東京ほか何か所かで地方公演も予定されています。