映画好きの友人が、コミックや小説を実写化するとき、原作とは別のものだと思った方がいい、と常々言います。原作でつくられたイメージをそのまま投影した映画などそもそも無理、違うものとして楽しむべきというわけです。
ここ最近で実写化するとどうなるのだろうと、不安と期待を抱いたのが、2009年の「昴ースバルー」でした。日本では数少ないバレエ映画です。主演は黒木メイサさん。ダンス歴は長いそうですが、バレエは3カ月間、猛特訓をしてトゥシューズで立てるようになったといいます。
ただ、いくら優秀な役者さんであっても、バレエというのは一朝一夕に身につけるのは難しく、それであればむしろ演技経験のないバレリーナをキャスティング する選択があったのではないかと思います。日々の地道な鍛練が体を作り、雰囲気を醸し出すのがバレエであり、その過程があってこそバレリーナたりえるのだ と逆説的に感じました。
映画は厳しい評価が多かったようですが、原作は非常に面白く読みました。
病気の弟の存在が大きく影響した昴の性格形成、舞台を移し、めくるめく運命。
引き付けられる昴のキャラクターだけに、また「違うもの」として楽しませてくれるような映画ができないかな、と思っています。