フランスのバレエダンサーで振付師、ローランプティ氏が10日、自宅のあるスイスで亡くなりました。87歳。各メディアに掲載されていた写真は、とてもその年齢には見えないほど颯爽とし、瞳には強い力をたたえています。
プティと同時代を生きたベジャールは、プティを評して「フランス人ではなく、パリジャン」と語ったと言います。
まさしく、プティといえば、しゃれっ気、エスプリ。しかし、「コッペリア」のペーソスあふれるラストに代表されるように、作品を彩る洒脱さの底には、人間の深淵なる本質が残酷なまでに描かれていたように感じます。
コクトーとのコラボレーション「若者と死」、「プルースト~失われた時を求めて~」など実に幅広い作品が残されています。
そう書きながら、調べ物をしていて気付きました。亡くなった7月10日は、プルーストの誕生日でもありました。
振付家は、作品となって永遠に生き続けることができます。そう考えると、決して寂しくはない訣別の時です。