前述のパリ・オペラ座ヌレエフ版「白鳥の湖」についてです。
バレエにかかわらず、あまり悲劇は好きではありません。これが日本人気質なのか、できればハッピーエンドで終わってほしい。
しかし、この「白鳥の湖」はそんな感情を超えています。救いようのないヌレエフ版ですが、これでいい、これがいい、と思います。
ひいき目ですが、これはやはりカール・パケットのロットバルトのお陰かも。
悪魔が登場したところで、待ってました!という気分になるのは、この人の魅力だと思います。
フクロウの姿をした悪魔がオデットを連れ去り、絶望に暮れる王子。
悲劇であるのに、ただひたすら美しさと感動ばかりあるのはなぜでしょうか。
そしてもうひとつ。ジョゼ・マルティネズがあまりにもひ弱なジーフクリートをうまく演じているからかもしれませんが、時々、王子もか細い白鳥に見えてしまうのは、私だけでしょうか。