妖艶でした。
パリ・オペラ座によるヌレエフ版「白鳥の湖」のカール・パケットです。
パケットは王子の家庭教師、実は悪魔ロットバルト。
第一幕のジーフクリート王子とのパ・ド・ドゥは秀逸でした。
これは倒錯した愛情なのでしょうか。
金髪に端正な顔立ちは、正統派王子のようでもありますが、やはりこういう癖のある役で力を発揮する人という気がします。
一方で家庭教師の踊りをなぞるジョゼ・マルティネズのジーフクリートは、ちょっと弱弱しく、被支配的な雰囲気を醸し出していました。
敵役も王子役もこなしますが、決して身体能力は高くなく、努力によって克服しているという評のパケット。
第一幕のインパクトが強すぎ、二幕の白鳥の美しさが淡泊に感じられるほどです。
白鳥の湖はやはり、男性の物語という気がしました。