バレエの椿姫では、各幕に1つずつある3つのパドドゥを楽しむことができます。。
マルグリットがアルマンを受け入れていく過程が描かれている「青のパドドゥ」。
時折、マルグリットが高慢でさえあるような表情を見せながら、次第にアルマンに惹かれていきます。
私がもっとも好きなのは「白のパドドゥ」。マルグリットがとても可憐で、愛らしい。この白い衣装はアニエス・ルテステュのシルエットが一番きれいに見える、と私は思います。
そして熱情をぶつけ合うような「黒のパドドゥ」。悲壮感が漂っていて、二人の心の闇さえ感じます。
まったく違うキャラクターの女性のようにすら感じる3つのパドドゥです。
ところでアルマンの父デュヴァル氏が、マルグリットを訪ね、別れてくれるよう頼むシーン。申し出を受け入れ、「娘にするような口づけ」を望む場面が何とも切ないです。
全編を通して、「やるせなさ」がこの作品のキーワードだと思っていますが、それを痛切に感じさせるデュヴァル氏とのやり取りです。