子供のころ読んだ、デュマ・フィスの「椿姫」の装丁を、今もはっきり覚えています。
子供心に救いがないように感じられ、何となく影を落とした作品でした。
オペラでは、ヴィオレッタ(バレエではマルグリット)が亡くなるラストシーンでアルフレード(同アルマン)と再会できて、若干の救いがあるのですが、ノイマイヤーのバレエでは、結局、再び会うことができないまま。
アルマンの幸せを思って身を引いたのに、結局、相手を深く傷つけ、自分も孤独に苦しむマルグリット。
ほかの選択はなかったのかと、つい現実的に考えてしまいます。
もっともこの作品は、デュマ・フィスの実体験がもとになっているというので、救いがない結末によって、やるせなさを昇華させているとも取れますが・・。
それでもバレエ作品は、そのやるせなさを視覚でしか感じないせいか、とても好きです。
椿姫の人間関係は非常にシンプルでありながら、脇のキャラクターが利いているというのも、その理由のひとつかもしれません。
ちゃっかりしているという印象の、マルグリットの友人プリュダンス。それにカールパケットが演じる、アルマンの友人、ガストンルルーもとてもチャーミングです。