昔々、竹取の翁(おきな)というものがいた。
ある日野山の竹の中に、根元が光る竹を見つけ近寄ると、中に三寸程のかわいらしい子が座っているのを見つけ、家へ連れて帰って妻の嫗(おうな)に育てさせることにした。
その子を見つけてから翁(おきな)は山に入る毎に黄金の入っている竹を見つけ、たいそうなお金持ちになった。
こどもは三か月もするととても美しい女性に成長したので、髪上げ、裳着(もぎ)をし、なよ竹のかぐや姫と名前を付け、三日間盛大な宴会を開いてお祝いをした。
かぐや姫の美しさは世間に轟き(とどろき)、求婚する者が沢山あらわれたので、翁(おきな)は特に熱心な五人の貴公子と結婚するようかぐや姫に勧める。
かぐや姫は、結婚の条件として珍しい品物を持ってくるようにと要求する。
石作の皇子には、仏の御石の鉢、(いしづくりのみには、ほとけのみせきのはち)
車持の皇子には、蓬莱の玉の枝、(くらもちのみこには、ほうらいのたまのえだ)
阿部御主人には、火鼠の皮衣、(あべのみうしには、ひねずみのかわごろも)
大伴の大納言には、竜の首の珠、(おおとものだいなごんには、りゅうのくびのたま)
石上の中納言には、燕の子安貝、(いそのかみのちゅうなごんには、つばめくらのこやすがい)
5人の貴公子は偽物を贈ったり、命を落としたりして失敗してしまう。
かぐや姫の噂は帝(みかど)の耳にも入り宮仕えを命じられたが、拒絶する。
帝(みかど)は諦めきれず無理に連れ帰ろうとするが影になり消えてしまったのでようやく諦め、後は文のやりとりをするようになる。
かぐや姫は月を見て物思いにふけるようになったので、翁(おきな)は理由を尋ねると、自分は月からきた者で、8月15日に月に帰らなければならないと告げる。
翁(おきな)は帝(みかど)に警護(けいご)をお願いしてその日を迎えるが、月の使者がやってくると誰も動けなくなってしまう。使者ははかぐや姫は罪人のため地上に降ろされていたのだと告げる。嘆く翁(おきな)を残しかぐや姫は天に帰ってしまうのだった。
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