バレエ演目のあらすじ集


※このバレエ演目のストーリー集は紙媒体のプログラムの印刷にご利用いただく場合のみ著作権フリーです。
 ホームページへの掲載やブログなどネット上でのご利用はできません。


あらすじ一覧に戻る


人魚姫

深い深い海の底に、人魚の王様の宮殿がありました。
王様には6人の綺麗な娘がいました。
中でも一番綺麗で、また美しい声を持つのは一番下の人魚姫でした。
6人の人魚のお姫様たちは、一日中宮殿の大広間で遊んだり、おさかなを可愛がったりして過ごしていました。
また、お姫様たちは、人間の世界の話を聞くのがなにより好きでした。
一番下の人魚姫は姉たちが海の外で見た町の様子や人間の様子を聞いて、外の人間の世界にあこがれていました。

やがて、一番下の人魚姫が15才になり、海の上へ行くことができる日がやってきました。
はじめて海の上に顔を出したとき、そこに大きな船が浮かんでいました。
帆をとりまいて人間が腰をおろし、音楽が聞こえてきます。
人魚姫が近づいてみると、そこに立派な姿の若い王子がいました。
王子の誕生日のお祝いをしているようです。
人魚姫は船のそばで花火が上がったり祝砲が打ち上げられたりするのを眺めました。
夜が更け、宴も終わりになったころ、稲妻が光り、恐ろしい嵐がやってきました。
マストが折れ、船も二つに折れて、王子は海の底へ沈んでいきます。
人魚姫は夢中で王子を助けました。
やがて夜が明けて嵐がやみ、浜へたどり着いた人魚姫は目を閉じたままの王子を心配しました。
突然近くの大きな白い建物から鐘が鳴り、大勢の少女達が外へ出てきたので、人魚姫は岩かげにかくれました。
一人の人間の娘がやってきて王子を助けるのを見届けると、人魚姫は海のお城へ帰っていきました。

人魚姫は王子を忘れられず、何度も海の上へ上がりますが王子に会うことができません。
とうとう姉たちに相談することにしました。
するとその王子がどの国のお城に住んでいるのかが分かりました。
人魚姫は毎晩のようにお城のそばへ行き、王子の様子を眺めていました。

だんだんと人間になりたいと願うようになった人魚姫は、おばあさまから、人間は人魚よりは寿命が短いが、死なない魂を持ち、死んだ後は神様の元へ行くのだと教えられます。
人魚は300年生きられますが、寿命が尽きると水の泡になって消えてしまうというのです。
それを聞いた人魚姫は、人間と同じ死なない魂が欲しいと思うようになりました。

人魚姫は宮殿を抜け出し、海の魔女のところへ行きました。
魔女は、人間のような二本の足を授けることはできるが、そのかわり、二度と人魚には戻れないし、王子と結婚できなければ、海の泡になってしまうと言いました。
そしてお礼に人魚姫の美しい声をもらうと言いました。
人魚姫はそれでも構わないと言い、魔女の薬と引き替えに美しい声をさしだしました。

人魚姫は王子の城へ行き魔女の薬を飲むと、気を失って倒れます。
目が覚めると王子が目の前に立っていて、人魚姫をお城へ連れて行きました。
人魚姫はシャボン玉のように軽やかに歩き、床を滑るように踊って人々を驚かせました。
王子はすっかり人魚姫を気に入りました。

王子はだんだんと人魚姫に惹かれていきますが、ある日、あの嵐の晩に自分を助けてくれた娘が忘れられないのだと人魚姫に打ち明けます。
声の出ない人魚姫は、助けたのは本当は自分だと伝えられずに悲しみます。

しばらくすると、王子が隣の国のお姫様をお妃に迎えることになり、人魚姫も一緒に大きな船で隣国へ行くことになりました。
隣国のお姫様があの嵐の夜に王子を介抱した娘とわかり、王子はとても喜び、結婚を決めてしまいます。
次の日、人魚姫が船の上で悲しんでいると、心配した姉たちが船へやってきて、短刀を渡し、これで王子を殺せば人魚に戻れると言いました。
人魚姫は王子の寝室に行きますが、王子の心が人魚姫に無いことを知ると、短刀を海へ投げ捨て、自分も海へ飛び込みます。

海の泡となった人魚姫は、風の精に連れられて空へ上っていくのでした。

(1538文字)

おすすめの「ラ・シルフィード」の見本はこちら
 B-59  B-115