ジュエルズ
ストーリーはなく、3つのパートにそれぞれ宝石の名を冠した副題がつき、
フランス、アメリカ、ロシアのバレエを象徴している。
第一部 エメラルド
フランス人作曲家フォーレの「ペレアスとメリザンド」「シャイロック」の穏やかな旋律に乗って、エメラルドグリーンの衣装をつけたダンサーにより、優美なダンスが展開する。
幕が開くと、主役のカップルと女性群舞が登場。場所を変えて何度もリフトが繰り返される。群舞のダンサーが隊列を変えながら男女を包み込む。
男女の一体感が感じられるシャイロックの「祝婚歌」に続いて、「ノクターン」では夜の闇で囁かれる愛の光景が繊細に描かれる。
群舞とソリストが一体となった華やかな「フィナーレ」を経て、葬送の音楽が静かに流れ、悲しみを想起させる。
第二部 ルビー
ストラヴィンスキーの闊達なリズムは、燃えるようなルビー色を思わせる。
真っ赤な衣裳をつけた男女のダンサーが、ダイナミックに踊る。
男性四人を従えた女性の主役が登場し、古典バレエの男女の関係とは異なった動きを見せる。クラシックバレエをベースとしながらも、アメリカ的な独創的で斬新な動きが見どころ。
スピード感にあふれたモダンなダンスが終始、展開する。
第三部 ダイヤモンド
チャイコフスキーの音楽に乗って展開する華麗なフィナーレ。古典バレエの壮麗さがちりばめられた一幕。白いチュチュは古典バレエに通じる格調の高さを表現している。
「第四楽章スケルツォ」では、軽やかな音楽に乗って四人の女性ダンサーが舞い、続く「第五楽章フィナーレ」では、ポロネーズに合わせて男女のダンサーが華麗に行進する。
様式性の高い踊りはロシア古典バレエへの賛美である。
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