バレエ演目のあらすじ集


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イワンとふしぎなこうま(せむしの子馬)(ピョートル・エルショーフ作)

ある村に3人の兄弟がいました。
兄弟たちは小麦を育てて売っていましたが、あるとき毎晩のように畑を荒らされ小麦をだめにされてしまうようになりました。
そこで兄弟たちは交替で見張りをすることにします。

まずは上の兄のダニーロが見張りに出ましたが、大雨になったため干し草の中で眠り、そのまま帰って来ました。
次の日の晩、中の兄のガヴリーロが見張りに出ましたが、ひどい寒さだったため、近くをうろつくだけで帰ってきました。
末っ子のイワンの番が来ましたが、のんびりやのイワンは暖炉にねそべりなかなか出掛けようとしません。
父親や兄弟たちにせきたてられ、ようやく畑に出て見張りはじめるのでした。
すると真夜中、まっ白な体に金色のたてがみを持っためすの馬が畑を飛び回っているのを見つけます。
イワンはこっそりと近づき、背中に飛び乗りました。
馬はイワンを振り落とそうと畑を駆け巡り、山や森をも駆け抜けますがイワンはしっぽをつかんで離しません。めす馬は、助けてくれるなら3頭のこうまをイワンにあげると約束します。

その夜から数年後の夜、ダニーロが酔っ払って畑のはずれの小屋に入ると、そこに金色のたてがみの綺麗なうま2頭と、背中に2つのこぶのあるちいさなうま1頭がいるのを見つけました。
「イワンがどうして毎晩この小屋で眠るのかがわかったぞ」
ダニーロはガヴリーロを呼び、次の日曜に小麦を売る時、きれいな2頭のうまをお金持ちに売ってしまおうと相談します。

日曜が来て、2人の兄はいつものように小麦を売りに出掛けますが、2頭の馬もこっそり連れ出して出発します。
夜が来てイワンが小屋に向かうと、2頭がいないのに気付きました。イワンは取り乱して泣き出します。すると残った小さなこうまが言いました。
「どろぼうはお兄さんたちです。さあぼくに乗って。」
イワンがこうまにまたがると、あっというまに兄たちに追いつきました。
兄たちはうろたえましたが、イワンにきれいな服と赤い帽子、ブーツを買ってあげると約束し、びんぼうな父のためだとイワンを説得します。
「そういうことなら僕も連れて行って。」
その夜一行は野宿をすることになりました。火を借りにでかけたイワンは火の鳥の羽を見つけます。こうまは「それは不幸のもとですよ」と言いますが、イワンは明るく輝く羽をこっそり拾って帽子の中に入れてしまいました。

都に着いた一行は、うまの市へと向かいますが、そこに現れた町長が、2頭のうまのあまりの美しさに「その馬を売ってはならぬ」と命令し、王様を呼んできました。
王様が到着すると2頭の馬をすっかり気に入り、「この馬は誰のものか」と尋ねます。するとイワンが「この2頭はぼくのものです」と言いました。
馬を売ってほしいという王様に、銀貨を帽子10杯と交換ならとイワンは言いました。

王様はすぐに銀貨を用意させ、2頭の馬を家来に引いて行かせますが、馬たちは家来の言うことを聞かず振り払い、イワンのところへ帰ってきてしまいます。
王様はイワンに「おまえがうまや番になり、うまの世話をするがいい」と言いました。
イワンと3頭はお城で暮らすことになりました。

お城できままに暮らしていたイワンは、ある晩王様に呼び出されます。
「火の鳥の羽を隠して持っているそうだな」
イワンにしっとした以前のうまや番が、イワンの帽子の中の火の鳥の羽を見つけ王様に告げ口したのです。
怒った王様はイワンに火の鳥を連れてくるようにと命令します。
こうまは「友だちだから助けてあげる。王様にトウモロコシとワインを用意してください、と言いなさい。」とイワンに言いました。

翌朝イワンとこうまは出発しました。8日目の夜森にさしかかると、こうまが「この先の野原に銀の山があり、そこに火の鳥が水を飲みに来ます。」と教えました。イワンは持ってきたトウモロコシにワインをまぜて桶の下でじっと待っていると、やがて朝日と共に火の鳥の大群がやってきてトウモロコシを食べ始めました。
イワンはそっと近づくと1羽のしっぽをつかみ、こうまを呼びました。イワンとこうまは火の鳥を袋に入れてお城へ帰りました。

王様はとても喜び、イワンをうまのかみにしようといいました。
以前のうまや番はそれをみて悔しがります。

それから3週間後、以前のうまや番は家来たちが外国の本の話をしているのを立ち聞きします。うるわしの姫君のはなしを聞いた以前のうまや番は王様に「イワンがうるわしの姫ならすぐに連れてくることができると言っていた」と嘘を吹き込みました。
王様はイワンを連れてこさせ、「うるわしの姫君を知っているという噂を聞いた。3週間以内に連れてこなければ牢屋に入れるぞ」と言いました。
イワンがこうまの元へ泣きながら帰ると、こうまは「友だちだから助けてあげる。王様にテーブルクロスと天幕、外国の食器、甘いお菓子を用意してください、と言いなさい。」とイワンに言いました。
翌朝イワンとこうまは出発しました。8日目の夜森にさしかかると、こうまが「この先の海にうるわしの姫君が暮らしています。1年に2回だけ陸に上がってくるのです。」
イワンは海のそばに天幕をはり、テーブルクロスをしき、食器と甘いお菓子を並べました。すると遠くから小舟が近づき、天幕の中に姫君がやってきました。
イワンはさっと姫君をさらうとお城へ連れて帰りました。

王様は姫君を見るなり結婚を申し込みますが、姫君は「私を妃にしたいなら、3日のうちに海に落とした指輪を見つけてください」と言いました。
王様はイワンを呼び、「指輪を届けたら何でもやろう」と言います。
姫君はイワンに「途中エメラルドのお城へ寄り、お母様のお月様とお兄様の太陽にごあいさつなさい」と伝えます。
イワンとこうまは翌朝出発しました。
途中、あばらに沢山くいが刺さったクジラの王様をみつけ、助かる方法がないかお月様に聞いて欲しいと頼まれます。
エメラルドのお城へ行くと、お月様は娘の無事を喜びました。
クジラが助かるには、今まで飲みこんだ30そうの船を解放すればよいと教え、娘の姫君には年寄りではなく美しい若者と結ばれることになるでしょうとイワンに伝言しました。
翌日イワンはクジラの元へいき、お月様から言われたことを伝えると、クジラは船の群れを吐き出したちまち元気になりました。
「2人のためならなんでもしましょう」クジラが言うと、
「何もいらないですが、姫君が落とした指輪を探して下さい」とイワンが言います。

クジラの王は家来の魚たちに探させ、イワンに大きな赤い宝箱を届けました。
とても重い箱でしたが、こうまはひょいと首にのせ、イワンも乗せてお城へ戻りました。

王様は喜び、姫君に結婚を迫りますが、姫君は「年寄りとは結婚できません。もし若返りたいなら、ミルクぶろ、煮えたお湯、冷たい水の入ったかまの中に順番に入れば立派な若者になれます」と王様に言いました。
王様はイワンを呼び出し、先におまえがやってみろと言いました。
イワンはこうまの魔法でつぎつぎかまをかいくぐり、美しいりっぱなみなりの若者に変身しました。
それを見た王様は自分も釜の中にはいりますが、そのまま死んでしまいます。

すると姫君が立ち上がり、この若者を夫とし、王様としようと思いますとイワンをゆびさしました。人々は喜び賛成し、イワンは王となりこうまと幸せに暮らしたのでした。

(2974文字)