ある日、アラジンという貧しく怠け者の若者の所へ、亡くなった父の兄だという男がやって来て、「仕事をあげるから付いてきなさい」と言いました。
魔法使いはアラジンに指輪を渡し、お守りだと伝えます。
アラジンが穴の中へ入っていくと、ルビー、サファイア、ダイヤモンドなどの宝石の実がなる美しい庭へ着きました。
その庭の奥で古いランプを見つけたアラジンは魔法使いの元へ戻りますが、あまりに美しいので宝石の実をポケットに入れながら戻ります。
入口へたどり着くと魔法使いは入口をふさぎ、ランプを渡せと迫りました。
怖くなったアラジンが両手を握ると、知らずに指輪をこすったようで、指輪の魔神が現れました。
指輪の魔神に家へ帰りたいと頼んだとたん、アラジンは家へ戻っていました。
家に帰ったアラジンは、手に持った古いランプの汚れを服でこすると、ランプから黒い大きな魔神が現れ、どんな願いも叶えると言いました。
アラジンが食べ物を頼むと、見たことの無い美味しいごちそうがテーブルの上に現れました。
何年かの間、アラジンと母親は魔神にの持ってくる食べ物を食べ、楽しく暮らしていました。
ある日アラジンはお姫様を街でみかけ、恋をします。
アラジンは穴の中の庭から持ち帰った宝石を母親に持たせ、王様に差し出しました。
それを見た王様は、同じ宝石をお皿に40皿分持ってくるなら、お姫様と結婚させると約束します。
アラジンは帰った母親からそれを聞き、ランプの魔神を呼び出すと宝石を用意するよう魔神に命じました。
アラジンは40皿の宝石をお供に持たせ、お城へ向かいます。
王様はアラジンとお姫様と結婚させることにしたのでした。
親切なアラジンは人々に好かれ幸せに暮らしていましたが、ある日魔法使いがランプ売りに化けてお城へやってきます。
お姫様は、古いランプを新しいランプに交換しますと言われ、魔法のランプを渡してしまいました。
魔法使いはランプの魔神を呼び出し、お姫様をお城ごと遠い国へ連れて行けと命じました。
アラジンは怒った王様から打ち首にされそうになりますが、1か月だけ猶予をもらい、お姫様を探す旅に出掛けます。
あちこち探し回り、疲れ果ててお祈りをしようと手を合わせると指輪の魔神が現れました。
アラジンは指輪の魔神のことをすっかり忘れていたのです。
指輪の魔神にお姫様のもとへ連れて行ってもらい、お姫様と力を合わせて魔法使いからランプの魔神を取り戻したアラジンは、
ランプの魔神の力で魔法使いを世界の果てへ飛ばし、もとの国へ帰ります。
そうしてアラジンとお姫様はまた一緒に幸せに暮らしました。
底本:「アラビヤンナイト」主婦之友社
1948(昭和23)年7月10日初版発行
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